■クローラー用モーター選びの『方程式』
クローラー用モーター、というのもいくつかは売られています。でもどうやって選べばいいの?クローラー用と銘打っているもの以外は使えないの?という疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
実は、クローラー用のモーター選びには「方程式」があったのです!この方程式を先日、いつも丁寧に教えてくださる しえら又はくまきちさんにご教授いただき目からウロコだったので、ここに改めてまとめておきます。数学っぽい内容なので苦手という方もいるかもしれませんが、眠らずにしっかり理解して貴方のモーター選びにお役立てくださいね!
■ターゲットは「140~160rpm」
好みもあるとは思いますが、コンペティションに出るようなマシンの多くが「クローラーといえどもかなり高速に走る」ということをご存知でしょうか。YouTubeなどでご覧いただけば分かるとおり、キャンキャン言わせながらタイヤが回っています。
このキャンキャン言うくらいのタイヤの回転スピードは、だいたい1分間に140~160回転のようです。(以降、1分あたりの回転数の単位を「rpm」と表記します。)
まずはタイヤの回転スピードが140~160rpmになるようなモーターを選べばいい、ということになります。
(本当にクローラーにおけるスピードは好みだと思いますので、必ずしもこの値にする必要はありません。ただ、コンペティションマシンの多くがこのくらいの速いスピードを設定しています。)
■超高速で回るモーターを「140~160rpm」に落とすのがギヤの役割
モーターは超高速で回ります。遅いものでも7,000rpm、速いものだと60,000rpmもザラです。これをクローラーはギヤで大幅に減速して、最後に回るタイヤの回転数を落とすわけです。この最後に回るタイヤの回転数を「140~160rpm」にするわけですが、モーターの回転をどのくらいの割合で減速するかを表すのが「ギヤ比(ギヤレシオ)」です。
アキシャルAX10スコーピオンなどの場合、モーターが最初に回すギヤボックス→ドライブシャフトを通じて回すホーシングのギヤ、と2段階に減速されます。それぞれのギヤに「ギヤ比」がありますが、結局モーターが最後に何回転まで落とされるかを「最終減速比」と言います。
最終減速比 = ギヤAのギヤ比 × ギヤBのギヤ比 × ・・・ と掛け算すれば出てきます。
クローラーキングはホーシングにモーターが直結されているので1段階です。
キットやRTRとして売られているリグなら、カタログやマニュアルに最終減速比が書いてあると思いますので、その数値を使えばよいです。
代表的な車種のギヤ比をカタログから拾える範囲で書いておきます。
クローラーキング(2.2、スーパーサイズとも)= 147:1
京商ロックフォース= 143.33:1(オプションで46.80:1~161.25:1)
アキシャルAX10= 15:1 ~ 74:1(実際には50:1~60:1くらいにセッティングすることが多い)
enRoute Berg2.2= 40:1(ピニオンギヤの歯数12丁の場合)
タミヤCR-01= 40.5:1
ウォームギヤを採用しているクローラーキングとロックフォースが突出してローギヤードです。
■方程式: 選ぶべきモーター = 最終減速比 × 「140~160rpm」
長くて難しい説明でもうみんな寝てると思いますが:-p やっと方程式が出てきました。
よく、どのモーターがオススメですか?という質問が投げられています(僕もそういうふうに質問してしまいました)が、マシンそれぞれの最終減速比が違うので、一概にどれがオススメとは言えないんですね。
クローラーキングの場合、最終減速比が147:1なので、上記方程式に当てはめると
147:1 × 140~160rpm = 20,580~23,520rpm
だいたい20,000~24,000rpmになるモーターを選べばよいということになります。ノーマルの540ストックは7.2Vでは14,000rpm程度ですから、最終回転数は95rpm。ターゲットの「140~160rpm」に比べて相当遅い、ということになります。
AX10で最終減速比を60:1で組んだ場合はどうでしょう。
60:1 × 140~160rpm = 8400~9600rpm
ニッケル水素7.2V+540ストックモーターでも速すぎるほどです。14,000rpmのモーターなら100:1~87.5:1に組むとちょうどよさそうです。
なので、AX10ユーザーの人にオススメモーターを聞いて、同じものをクローラーキングにつけると、ものすごーく遅いリグになってしまいます。
これで必要なモーターの回転数はわかりました。ではその回転数を発揮できるモーターはどうやって探せばいいんでしょう?
ブラシモーターの場合、適正負荷時回転数というのが書かれていることがあるので、その回転数を参考にすることになりますが、電圧によっても回転数が違い、場合によっては適正負荷時回転数が「12Vの場合」とRCではありえない電圧を設定していることがあるので、本当によく分かりません。
一応クローラーキング用の参考として、最終減速比が近い京商のロックフォースが推奨しているモーターは「20T~27T」です。この「T値」については次の項にて。
■ブラシレスの方程式はちょっと違う
選ぶべきモーターのKV値 = 必要なモーター回転数 ÷ バッテリーの電圧
ブラシモーターの場合は「17.5T」など「T値」で書いてありますが、これはモーターの巻き線数を書いてあるだけで実際の回転数はこれでは分かりません。ただ、T値が大きくなるほど遅いモーターで、クローラー用として売られているものは55T~60Tくらいのものが多いようです。(中には80Tや100Tというのもありますが。)同じT値でも実際の回転数はわからないので参考程度にしかなりません。
対してブラシレスモーターは「KV」という値で書いてあります。これはバッテリー1ボルトあたり何回転するか、という値なので、モーターの回転数がハッキリ分かります。たとえばクローラー用ブラシレスとして売られているものの多くが1000KV程度ですが、ニッケル水素バッテリーの7.2Vでは 1000KV × 7.2V = 7,200rpm となります。
先ほど最終減速比から求めたクローラーキングに最適なモーター回転数は20,000~24,000rpmですので、1000KVのモーターでは遅すぎる、ということになります。
クローラーキングの20,000~24,000rpmを7.2Vのニッケル水素バッテリーで実現するなら、
選ぶべきモーターのKV値 = 20,000~24,000rpm ÷ 7.2V
= 2777~3333KV
ということになります。3000KVのモーターなら、
3000KV × 7.2V ÷ 最終減速比147:1 = 147rpm
となり、ターゲットの「140~160rpm」の中に納まります。
1000KVのモーターを最終減速比50:1で組んだAX10で使った場合、ニッケル水素7.2Vなら
1000KV × 7.2V ÷ 最終減速比50:1 = 144rpm
で、ちょうどよいモーターだと言えます。
また、Lipoバッテリーの場合は2セルで7.4V、3セルで11.1V、LiFeバッテリーの場合は6.6Vと電圧が違いますから、電圧に合わせて必要なKV値のモーターを選ぶ必要があります。
もしクローラーキングでLipo3セル11.1Vを使った場合、
選ぶべきモーターのKV値 = 20,000~24,000rpm ÷ 11.1V
=1801~2162KV
ということになります。
つまり、モーターより先にまずはバッテリーを選ぶ必要があるんですね。ニッケル水素→Lipo 2セルならほとんど電圧が変わらないのでよいのですが、将来Lipo 3セルにする予定があるのなら、モーター買い替えの無駄をなくすためにも先にLipo 3セルに移行しておいたほうが無駄な出費がなくてよい、と。
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いやー、もう100人中70人が2秒で離脱、20人が読みながら寝て、残りの10人が怒って岩を投げてきてるようなエントリーですね、今回:-p
ブラシレスに移行するための準備としてサイドワインダー2基がけにして、次はいよいよモーターだ!と思ったら実はバッテリーの方が先だった、ので軽くショックだったんです(笑)
ただ、ターゲットのKV値を計算しておいてよかったです。世の中のアフターパーツはAX10とCR-01とBergをターゲットに出されてるんだなーというのがよく分かりました。なのでクローラーキングのユーザーは「クローラー専用モーター」とか買っちゃダメなんです。1000KVのブラシレスモーターとか60Tのブラシモーターとか買うと悲しいことが起きるぞ、と。
このエントリーで何人かのクローラーキングユーザーとロックフォースユーザーが救われれば幸いです。
解ります…(´Д`)
クロキンのローギヤァときたら……
今日は、ハムスターに抜かれました�(泣)
付属のモーターは何ターンなんでしょう?
コレはヤバいっ!!
コメント by hide | 2009年 3月 13日 |
ハムスター!!わはははは!
僕はクローラーキング以外を見たことがないので、クローラーは遅いものだと思っていました(笑)
RCロッククローリングマニュアルに付属しているDVDを見て、案外な速さに驚いたんです。
付属モーターは何ターンとかいう以前の遅さですよね。モーターのせいじゃなくてギヤ比の問題なんですが。
計算上10.5T、3000KV以上が最適と出ると本気で疑ってしまいます。ここまでローギヤードにしなくてもよかったのにー
コメント by モリカワ | 2009年 3月 14日 |
ですよね〜ww‐
ランクルに60T入れて遅すぎたと後悔したのですが
クロキン君は更に遅いです…
次は4WS化とモーター変更を企んでおります
金が無い〜o(^-^o)(o^-^)o金が無い〜
僕のは、安いアンプなのでモーターは23T位が限界です(T_T)
コメント by hide | 2009年 3月 15日 |
キングは遅いですよねー子供用のトイラジに負けたのにはびっくりしました。
Side Winderでも10.5Tとかに耐えられるのかが心配です。Lipo 3セル11.1Vにして、モーターの回転数を下げたほうが賢明かなーと考え中ですが、バッテリーの管理が面倒なのでLiFeも考え中です。LiFe 3セル9.9Vというのがあるようなので情報収集中です。
コメント by モリカワ | 2009年 3月 16日 |
リポカッコいいです(((・・;)
ニッカド ニッスイから抜け出せません…(T_T)
コメント by hide | 2009年 3月 16日 |
リポ、確かにカッコいいですね♪性能云々より単純に憧れてるとこもあります(w
でも充電器が高い!もっと安くなってほしい!!
コメント by モリカワ | 2009年 3月 16日 |
[…] まぁもう少し速くてもいいか、という程度だったので、やっぱり■クローラー用モーター選びの『方程式』での計算で導き出した2000~2400KVでちょうどいい、ということが裏付けられました。 Hk-2221-12 […]
ピンバック by ■Li-Fe 9.9Vで初走行 « RC Rock Crawlers - SWITCH! - | 2009年 4月 23日 |